mdkロンドン生活

ロンドン生活、赤子との暮らし、日々のよしなしごとなど。

随筆 「SNSに載らないとある1日」

久々に自分の足をまざまざと見た。痣だらけである。
リフトのない駅や段差の激しいバスを乗り降りする際にベビーカーを足で持ち上げているうちに出来たようだ。
隣り合った人に都度助けを乞うてはいるのだが、その暇がない場合も多い。

リッチモンドヒルは道の補正もまばらな為、息子は家に着く十メートル程手前で震度三程度揺れなければならない。息子は揺れ、母は痣を作りながら運ぶ。女工哀史のそれだが慣れたものだ。



さて今日は予定がない。息子を最近始めた乳幼児教室の無料開放に連れて行こうと消灯すると、居間の電球がポンと飛んだ。連れと「シャンパン」と呼んでいる現象はもう五回目だろうか。脈絡なくヒューズが飛び危険極まりない。息子が泣き始めた。iPhoneで「ふかふかかふか」を流す。

外を見ると雨だ。歩くと二十分程度なので中止にせざるを得ない。早めの昼食を与えるかと温めたが五時に起きた息子は眠いようだ。居間に寝かせ冷めた粥を横にパンを食べる。
パンもそこそこに洗濯を始める。昨日は温度を間違えてバスタオルをハンドタオルサイズにしてしまった為注意が必要である。

と息子が起きた。何やら熱い。未だ三十八度以上の熱に見舞われていないかわりによく風邪を引く。イースター休暇前に一ヶ月程だらだらと続いた風邪が治ったばかりだがまたどこかで軽くもらってきたようだ。夫も謎の腹痛に見舞われていると連絡が入る。決まって二人で体調を崩すのもお決まりとなりつつある。

晴れた為買い出し。今日はスーパーで肉を薄切りに出来ないか交渉すると決めている。道中最上階に住むフランス人のお婆さんに遭遇。我々はフランス語で挨拶することにしている。最初は英語で会話していたのだが、少しフランス語が出来ますと余計な事を言った為に以降彼女はフランス語で話しかけてくるのだ。覚えているものを全て披露しきってしまったが挨拶。

肉コーナーのカウンターにて交渉。紙のように、出来る限り薄く。怪訝な顔をされつつ出来上がったものは豚カツに相応しい厚さであった。まぁ良い。今日は顔見せだ。一ヶ月以上かかりやっと届いたデビットカードは何故か使用出来ない。


帰り際、渡英直後に話しかけたチーズ屋の店主と話す。店先に椅子を置き携帯片手に日光浴している。気楽なものだ。

突然離乳食を食べなくなった息子に煎餅を与えつつ夕食を作る。強火は火災報知器が作動する為要注意だ。夫が帰宅。こちらに残業は殆どない。出張者の土産だという歌舞伎揚げを五秒ほどで食す。


日が長くなり八時でもまだ明るい。週末の過ごし方について話す。息子を寝かせ目覚めに備え急いで風呂へ。風呂場にコンセントがない為台所で髪を乾かす。離乳食を冷凍すべくそのまま台所に立つ。

SNSに載らないとある1日を昭和初期の随筆風にご紹介。どんどんキラキラに合法的にばびろんまつこみたいにしていく気合いを込めつつ。かしこ

ポップな赤ちゃんせんべい